マリー・クワント展レポート 1960年代のムーブメントin UK

ファッション

開催期間 2022/11/26~2023/1/29
渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアム

マリ・クレール(マリクレ)と混同しそうだけど
「マリクワ」の方ですw

マリー・クワントといえばコスメのイメージが強いように思うけど
実は1960年代を中心に一大ムーブメントを起こした人だったんですね!!

「ミニの女王」らしいっす

■シャネルvsクワント?なんだかんだ共通点もあり・・・

私の中ではシャネルの方が、女性をコルセットから解放した人として印象が強いけど
しかもミニスカートはクレージュの方が先だったみたいだし
イギリスではそうなのね
ちょっと勉強不足でしたわ

この展覧会にあわせてBunkamuraのル・シネマでも
マリクワのドキュメンタリーが上映されていて
そのトレーラーで言ってた
シャネルは私のことが嫌いでしょうね、と

まあパリとロンドン、仲悪そう・・・
私が海外に興味を持ち始めた30年以上前には
フランス行ったら英語は話すな、みたいな話をきいていたし 苦笑
歴史的な遺恨とかありそうだしね
実際そのころにはフランスへ行くことはなかったけど
10年くらい前に行ったときには別に英語しゃべっても問題ありませんでした
というか、ポンピドゥーセンターで入場待ちしてたら
美術館の人は英語で話しかけてきたくらいだから
時代は変わったということでしょう
*職場でも「H」は発音してくれないけど
フランス人も普通に英語話してたしね~ 若い人は特に

まあそれはさておき、展覧会についての感想


私個人としては、久しぶりに解説パネルもちゃんと読んだし
知らないことや驚きがあって満足の内容!

まず驚いたというか、過去の疑問が晴れたのが
「BAZAAR(バザー)」がマリー・クワントのブティックだったこと

私はそもそも1960-70年代の古着が好きで
大学生くらいからハマってました
で、たまーにこの「BAZAAR」ってのを目にしていたのです
でも当時はインターネットもないし、
小柄な自分には日本製の古着の方が好みだったので
気にはなったけどそのまんまになっていました

そして30年以上の時を越え、ガテンが👍
まずそれでテンションあがりましたわw

しかもというか、よくよく解説を読むと
BAZAARはあくまでマリー・クワントたちが開いた「ブティック」のことらしいではないですか
加えて言うなら、
マリーは最初からデザイナーをしてたわけではなく
イタリアやオーストラリアから仕入れたものや
美大生から買い取ったものを集めた要するに「セレクトショップ」を開き、
それが売れて話題になって、そこから自分でもデザインをするようになったと

面白いのが、その前には美大を出てから
帽子屋に勤めてたらしい
これまた帽子の仕立てから始まったシャネルと被るね
1950年代とかファッションアイテムとして帽子は重要だったみたいですね
英仏どちらでも

■ドライなビジネスパーソンから成るマリークワント

マリー・クワント「たち」というのは
マリーに加え、
夫アレキサンダー・プランケット・グリーンと友人のアーチー・マクネア2人もいたから
マリー・クワントは彼女の名前でもあるけれど
この3人が創設したマリークワント社でもあるということです

そして何がすごいって、
ここがまたシャネルとは違うところだけど
この3人がそれぞれ適材適所で役割分担が上手くできていたところ
ちゃんとファッションビジネスをやってたというか
*恋愛でてんやわんやのシャネルとは違って
マリーは早い段階で公私ともパートナーになる人がいて
仕事に専念できた、という個人的な想像ですw

■モデルの台頭 中世的な体系の始まり

マリーはブラントのコンセプトを作り、時代を読むことができた
しかも本人がモデルにもなれたのよ
めっちゃ足細いしスタイルいい
40代以上の方には懐かしい「ヴィダル・サスーン」カットも
本人がやっちゃうw *ヴィダルサスーンってシャンプーとかあったよねww
私はイギリス人て、ヨーロッパのなかでは
そんな細い人いるイメージがなかったけど(私見です)
このころは割といたんでしょうかね

モデルで言うと、ミニといえばあの「ツイギー(Twiggy)」ですよ!
1966年の顔として選ばれたという
モデル業はたった4年ほどだったみたいですが(ピンクレディみたいw)
ショートヘアにツケマ3枚重ねで下まつげも加筆のドールメーク
手足同じみたいなほっそーい脚
なんか昨今のファッションモデルがあまりに細すぎて問題(不健康とかいう)になってたけど
まるでそのきっかけ作りになったのかもしれない・・・
*ツイギー自身はそれが自然の体型だったから意味合いは異なるけど
それでわざわざ太っちょのモデルとか年配のモデルを起用するブランドも出てきたよね
モデルの多様性アピールみたいな?


でもデザイナーとして自分の作品を表現するのに
モデルの体型を選ぶのは当然だと思うから
個人的にはデザイナーの表現者としての問題で
結果細っちょばかりだったとしても仕方ないと思いますがね
(サンローランは細い人が着てほしいとか思うし)

マリークワントのモデルになる人は、マリー本人のこだわりがあって
ショーに出るのも限られた5-6人だけだったようです
その少人数が裏で早着替えしないといけなくて大変だったって

ちなみにマリーの宣伝用の写真(モデルカット)が図録にもいくつかあるけど
アフリカ系やポリネシア系の女性もフツーに採用しています
それにトランスジェンダーのモデルもいたし
そこらへんは先を行ってましたよ
いいですね


おっと軌道修正・・・話は戻り

■ビジネスパートナーたちの存在


夫のプランケット・グリーンはとてもオシャレで
マリーとカレッジで出会った頃から個性的なファッションをしていたみたい
基本金持ちのボンボン?公爵の家系で社交的、ルックスもまあまあw
その彼がブランドのプロモーションや広告・PR関連、マーケティングもできる

マクネアもいろんな経歴があるみたいだけど、
最終的には写真家になろうとしてスタジオの経営を始め、
カフェなんかもやったりという実業家で法律家
そこが当時の若いアーティストなんかが集まるようなたまり場になって
チェルシー地区ではすでに有名な人になってたと
彼がいなければ「マリークワント」社はあり得ないといった感じ

3人がそれぞれの分担業務してたんですよ
ファッションの世界ではあまりにドライでシステマティックというかww

だってシャネルにしろサンローランにしろウェット感ぬぐえない 苦笑
どちらも好きですが

さすがイギリス人っていうかね、
そりゃシャネルに嫌われるってw
(本当かはわからないけど)

そして中でも私がすごいと思ったのが、
BAZAAR自体は1955年に開店するけど、
1969年には閉店してしまっている!!
なぜなら今後は「ライセンス」ビジネスの方に注力するため!
これってデザイナーだけでは思いつかないでしょ、1970年代よ
やっぱマクネアのような存在は大きい

日本でマリークワントといえばコスメのイメージが強いのは
この頃の方向転換で日本進出してきたから
道理で
なんと現在マリークワント社は日本が拠点になってるみたいです
知らんかったわ~

時代の波に乗って、アメリカ市場にも進出して成功し
その時の経験から商品デザインとライセンス契約の方が効率よく儲かると
学んだそうです

結果マリークワントといえばあのデイジーマークで商売繁盛
この展覧会でもありましたよ~
そしてまんまと買っちゃいましたよ~ www

ビンが好きなので フフフっ↓

レモンにひかれて💛食べてもおいしかった~

■時代の流れに乗った幸運と現代の認識

そもそもマリー・クワントは時代にもマッチしてたんでしょう
この展覧会のなかでも「大量生産」ってワードが出てくるけど
世界的にも1960年代は
アメリカではアンディ・ウォーホルが
キャンベルスープ缶の絵やシルクスクリーンを使ってそれを表現してたし
それが時代の象徴となってるし

あと戦後の庶民のフラストレーションも爆発したんじゃないでしょうかね
60sといえば女性解放運動(women’s lib)もあったし
イギリスは階級社会だからそれに対する反発とか?

大量生産のファッションは現在ではそのあとに「大量消費」と続き、
ゴミ問題、環境汚染などを想起してあまりよい印象とは言えない・・・

けど、彼女の「大量生産」の意味は
一部の人間の特権であったファッション(オートクチュールのような)を
一番裾野にいる庶民も楽しめるように「広めた」ということ
だとは思います


でも21世紀にはまた違う流れがあるのも確かなので・・・

事実、その当時のマリークワント(またはジンジャー)の服ってあまり残ってないみたいです
要するに「Sutainable」な素材や品質ではなかったのではと
展示するため(あるいはV&A博物館に所蔵するため)に
一般人から寄贈してもらうしかないみたいなことが図録にも書いてあった
それってあまり長持ちしない代物だったからのかな~なんて
*レインウェアにPVC素材を使ったとかもね、
今でも使われてる素材だけど
長く持てるイメージがない

当時マリークワントの服は若者にも買えたみたいだし
さらに1963年には「ジンジャー・グループ」という、
マリークワントよりもさらに手頃な価格のセカンドラインも作っている
また驚いたことに、マリーは市販のパターン(型紙)を使っていたとかw
時間や労力は効率的に使ってたのね 
まずは行動!?合理的?見習いたいわw
当時は日本もそうだけど、自分で服作れる人多かったから
型紙のついた雑誌とかいっぱいありましたよね
とにかく機械や工場での大量生産もあり、
さらに同じ型紙を共有することでファッションを楽しむ人(母数)を増やしたということもあれば
そりゃ大層な大量生産だったことでしょう

■今では常識のプロモーションスタイルの確立

そのほか、ショップのショーウィンドウを今のようなガラス張りで
その中の空間つかったプロモーションをしたのも
彼らが最初だったようです
いわゆる「ビジュアルマーチャンダイジング」
*それまでは窓に鉄格子なんかがあって、そんな使い方はできなかったとか

アパレルに勤めたことのある人にはなじみのあるアノ「VMD」ですよ、
あれを広めたのがマリークワントですって
今じゃどこでもやってるし
VMD担当者ってそういう歴史知ってるのかなあ?

あれもこれも時代を読んでましたね

■1960年代というマジカルDECADE

2023年、昨今「昭和レトロ」ブームだそうで
まさにこのマリークワントの「スウィンギング・ロンドン」の時代は
日本でいう昭和時代の話
1966年はビートルズ初来日でしょ、
アメリカでもヒッピー文化台頭
時代が戦争や、戦後だったことによる反動・反発からくるエネルギーだと思う
人間がある種イキイキしていた(皮肉なことだけど)

ファッションも音楽もカッコよかったよね~単純に
今見てもやっぱいいなと
正直今はもう誰もが新しいと思うような斬新な作品って生まれないと思うし
あとは時代に合わせてアレンジ加える、みたいな発展しかしないでしょ

この間「プロフェッショナル」に、さだまさしさんが出てて
今でも念に1枚はアルバム出すようにしてるけど、
新しい音楽を産むのはもはや難しいっておっしゃってました
ですよね~
それでも自分で新鮮に思える音を探しているということでした
大変ですがアーティストって感じがします

ということで最後は「さだまさし」で終わるというのも乙かなと思いますが 苦笑
1960年代って日本も含めて世界中が元気で
いろんな新しいものが生まれるタイミングだったという
それがあの世界大戦後だからこその流れだったとするとホント皮肉だな~と思います

★余談
というか、悔しくてたまらんことが・・・言いたい!!
続けさせて~

今回、会場に行ったら入り口でステッカーをもらいました
シルバー加工?した3cm角の正方形のステッカーでツイギーの写真でした

なんでくれたんか分からんかったけど、
後でチラシをみたら、60年代風の衣類や小物を身に着けてたらプレゼントするという
キャンペーンだったみたい

今のワタクシは個人的に古着復活のマイブーム到来中!!
その日も薄いベージュ地でカーキ色のツイード?みたいなコートにタートルネック
いかにも60年代風の恰好しちゃってたのです

それはうれしい小さなサプライズだったのですが、
なんとそのステッカーを、
買った図録にポストカード(これも図録購入者用のプレゼントw)と一緒に挟んでたはずが
紛失してしまったのですぅ・・・
前日あったのは確認していたのに
どこーーーーーお??😢
これだけ探してもないなんて。。。何かに紛れて捨ててしまったとしか今は思えない

ぐやじーーーー
私はアホや・・・
こういうチンマイどんくさいことよくやる

写真も撮ってないからここにも載せれない トホホ
↓このビジュアル使用(展示の最後で撮影可になってたパネルです)

ああ、何かを手放したということで
新しい何かが入ってくるんだと、
スピリチュアル的な発想でそう思うことにします
いやしかし・・

ブログってためになる情報を入れないと読んでもらえないらしいけど
どうしても誰かに言いたかった 苦笑
すんません・・・結構打撃受けてます・・・ガックシ

とりあえず最後に【まとめ】

今回の展覧会は行ってよかった ★★★★★
でも図録があれば十分ともいえます
絵画作品じゃないし、鑑賞するもんでもないし
そもそも日本じゃ東京でしたやらなかったし
行って発見したのは当時の服のサイズが案外小さいなということくらいです

行けなかった人でファッション史に興味があれば
図録購入をお勧めです! 
オシャレな表紙とインスピレーション受けそうな写真もいっぱいです!
持ってるだけで自己満足できます
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_maryquant/catalog_goods.html

マリーは2023年2月現在ご健在で、
2/11に93歳になられたはずです
ヴィヴィアン(ウェストウッド)は昨年亡くなってしまいましたが
エネルギッシュな英国女性
アッパレですね!!
細い人ってやっぱ長生きなのか・・・



【その他展覧会情報】

ちなみに秋には国立新美術館で「イヴ・サンローラン展」やるみたいです
2023.9.20 (Wed.) ~ 12.11 (Mon.)
主催者の中にソニーミュージックがあるのがなんで?って感じですが
こちらは「モードの帝王」と呼ぶ・・・
でもチラシのビジュアルがいまいちで残念
サンローラン自身には興味があるので行きたいですが、
あとは料金が書いてなかったので、それ次第で行こうどうか検討しようと思います
*2300円もしたシャネル展へは行かず・・・
無料でポーチまでもらえたやつには行ったけど、そのあとにこれは・・・ケチってしまった:P

そんな私はブランド品には縁も興味もないタイプ
とはいえ時代を動かした才能や運をもった人たちの行動力や功績を知って
今の時代を生きるためのインスピレーションにしたいです:))

追記:

2023年4月13日 マリー・クワントさんお亡くなりになりました(93歳)
最後にいただいたインスピレーション、大事にしていきたいです
ありがとうございました
RIP

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